

こんにちは、代表の齋藤です。信州・長野でおもしろそうなイベントがあると聞いて、早速行ってきました。昆虫食の本場である信州・長野だからこその昆虫食熱を感じられたのでご紹介します。
『大昆蟲食博』の見どころは長野の4大昆虫食
長野県南部に位置する伊那市にある伊那市創造館で開催中の『大昆蟲食博』では、主に伊那谷で受け継がれてきた昆虫食文化を紹介しています。伊那谷で受け継がれてきた昆虫食文化とは、みなさんご存知のとおり「イナゴ」「ハチの子」「ざざ虫」「さなぎ(カイコ)」です。この4大昆虫食が、なぜこの地で受け継がれ、生活の一部とされてきたのでしょうか。
イナゴは「家庭の味」
伊那谷だけでなく長野の全域で食されている「イナゴ」。イナゴの佃煮や甘露煮は、みなさんも一度は聞いたこと口にしたことがあるのではないでしょうか。『大昆蟲食博』ではこのイナゴを使った昆虫食を『家庭の味』として紹介しています。
とある一般家庭のイナゴ採りから調理方法、食べる楽しさまでがわかる展示となっています。イナゴ料理がごく当たり前に家庭の食卓にあることがわかります。これも立派な食育なんだろうなと私は感じました。
「追って、飼って、食べる」ハチの子
ハチの子のコーナーでは、食材としての「追う楽しみ」「飼う楽しみ」「食べる楽しみ」を紹介しています。食べる楽しみだけでなく、「追う」「飼う」という文化を知り、この地の人々のハチの子へ対する情熱を感じとれました。
唯一、動画で紹介されているこのコーナーでは、ハチの巣を見つける方法「ハチ追い」が映されていました。ハチ追いとは、まずイカを餌にしてハチをおびき寄せ、胴体に目印を付けます。そのハチが巣に帰るところを必死に追いかけ、巣の場所を特定するのです。
特定した巣はすぐに処理してしまうのではなく、大きくなるまで見守り、飼育するそうです。伊那市には巣の大きさを競う『地蜂の巣コンテスト』というものもあり、単なる食文化だけでなくエンターテイメントとしても楽しんでいることがわかりました。
「ヒミツの食べもの」ざざ虫
みなさんは、ざざ虫がなんの昆虫のことかご存知ですか?実は一種類の昆虫を指す言葉ではなくて、伊那谷に流れる一級河川「天竜川」にいるカワゲラ、トビケラ、ヘビトンボなど水生昆虫の幼虫時の総称で「ざざ虫」という呼び方をしているそうです。このざざ虫を食べる習慣は、伊那谷にしか残っていないようです。
ざざ虫のコーナーでは、ざざ虫の漁獲方法である「虫踏み」が細かく紹介してあります。実際に使用されている自家製の特殊な漁具も展示してあります。
ざざ虫漁は12月から2月の寒い時期に行われ、その時期のざざ虫は脂の乗りがよくおいしいそうです。尚、ざざ虫漁を行うには天竜川漁協の「虫踏み許可証」が必要です。
「養蚕、製糸産業から生まれた副産物」さなぎ
人間の手が加わり家畜化されたカイコの一生には、どの段階、工程にも無駄がありません。さなぎを食す文化もカイコを無駄にしないための一部であったと考えられます。
製紙工場で働く人が糸を取り終えたマユからさなぎを取り出し、おやつ代わりに食べていたというエピソードも写真とあわせて紹介されています。油が酸化する前の新鮮なさなぎは、とてもおいしいそうです。
新たな視点で見る世界の昆虫食
信州・長野の昆虫食文化を中心に紹介している『大昆蟲食博』ですが、その一角には世界の昆虫食を新たな視点で紹介するコーナーがありました。世界中の昆虫食の展示はもちろんのこと、未来の昆虫食として「火星での昆虫食」という展示物もありました。
その他にも、伊那市創造館の館長自らが世界の昆虫食を実食レポートしている「食べてみた。」という掲示物もあります。館長の人間味ある正直なコメントが楽しめます。
まとめ
長野県の伊那市創造館で行われている『大昆蟲食博』は長野の昆虫食を紹介するだけのものではなく、信州・長野、伊那谷の人々がどのような理由で昆虫食を受け継ぎ、生活の一部にしてきたかを丁寧に説明しているイベントでした。
「長野に昆虫食があることは知っているけど、なんで食べるようになったんだろう?」と思っている方は、ゴールデンウィークに足を運んでみてはいかがでしょうか。きっと、日本の昆虫食文化に誇りを持てます。
最後の写真は、伊那谷の昆虫食文化を説明してくださる伊那市創造館 館長の捧(ささげ)さん。会場へ行った際は、ぜひ声をかけてみてください。なんでも丁寧に答えてくれます。
イベントの詳細はこちら『創造館第20回企画展 大昆蟲食博』