前編に続き、後編でも足立区生物園で体験できることについてご紹介します。
大人の飼育員体験で学んだ4つの役割
2年ほど前に足立区生物園が主催する「大人の飼育員体験」の昆虫コースに参加し、陸生昆虫の飼育員さんの仕事を体験しました。飼育員体験では昆虫の生体展示の裏側でたくさんの苦労や工夫があることを実際に体験させていただき、動物園や水族館の役割について座学で教えていただきました。
足立区生物園も所属している(公社)日本動物水族館協会は、動物園や水族館の役割を「種の保存」「教育・環境教育」「調査・研究」「レクリエーション」の4つに定めています。来場者からすると休日のレクリエーションや子供への環境教育はイメージしやすいと思いますが、種の保存や調査・研究の役割も担っています。種の保存の一例として、足立区生物園の陸生昆虫担当の腰塚さんが絶滅危惧種であるフサヒゲルリカミキリの繁殖に成功したことが知られています。
チョウの楽園
足立区生物園の人気スポットといえばチョウの大温室です。「シロオビアゲハ」「ナガサキアゲハ」「オオゴマダラ」など主に日本の南側に生息する大型なチョウを中心に20種類以上のチョウをみることができます。さながら南国の楽園です。
運がよければ、羽化したばかりのチョウを飼育員さんが温室に放す瞬間に立ち会うことができます。アゲハは人の手から逃げるように素早く飛んでいきますが、タテハはしばらくその場を動きません。タテハは自身が持つ毒成分のおかげで動物の捕食対象から外れており、警戒心が弱く人の手からもゆっくり離れていくそうです。
昆虫ドームで虫を探そう
屋外にある昆虫ドームを夏に訪れるとカブトムシやクワガタを見つけることができます。夏以外の季節も昆虫ドーム内をよくよく探してみると色々な虫がいますよ。
私が秋に訪れた際は大きなトノサマバッタがいました。都内では野生で見かけることが少ないトノサマバッタを間近で観察できる機会は貴重です。トノサマバッタが秋に産んだ休眠卵を飼育員さんが大切に冷蔵保管し、翌年に羽化させることで私たちはトノサマバッタに出会うことができるのです。大人の飼育員体験で少し裏側を見せていただいただけに感慨深かったですね。
昼のホタル
小さい子供がいるとホタルを鑑賞したいと思ってもなかなか夜遅くまで待っていられません。お子さん連れには「昼のホタル観賞会」がおすすめです(今年は終了してしまったため、来年の開催をお楽しみに)。
この夏はタイミングよく2度も参加することができました。時期によってホタルの数や種類が異なりますが、今回は「ゲンジボタル」と「ヘイケボタル」がなんと200匹。あっちでぴかぴか、こっちでぴかぴか。ものすごい数の光の共演でした。ちなみにゲンジボタルは大きくゆっくり光り、ヘイケボタルは小さくすばやく光っていました。来年こそはホタルの夕べにも参加したいです。
(番外編)カエルのぼっちーさんとの出会い
足立区生物園は元渕江公園内にあるため、外に出ると遊具で思う存分遊ぶことができます。クモの巣をモチーフにした遊具があったり、滑り台にてんとう虫が描かれていたりと遊具まで生きものいっぱいです。
雨上がりの砂場で遊んでいると、娘がツチガエルと思しき個体を嬉しそうに私に見せにきました。一人ぼっちでいたカエルに「ぼっちーさん」というあだ名をつけ、水たまりでしばらくカエル泳ぎを見せてもらいました。まだまだうまく泳げない娘にとって「ぼっちーさん」は泳ぎの先生なのです。
関東の夏休みもいよいよ終盤。足立区生物園では9月8日(日)まで「生きもの捕りに行こう展」が開催されています。私たち親子はセミの抜け殻から種類を判別する方法を学びました(アブラゼミとミンミンゼミの抜け殻の判別方法のマニアックさには驚きました)。足立区生物園は都心からアクセスも良く、子どもたちにとって貴重な「学び」や「気づき」が得らえるスポットです。さあ、自由研究もラストスパート!?